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初めての彼氏。初めての、夏……。
いっぱい遊びに行ったりしたいなぁ。花火見たり……、プールに行ったり、色々と。
「なーにぼうっとしてる。瑠那」
「あ……研士」わたしの要望で、伊達眼鏡は外して頂いている。本日。なので……見惚れてしまう。「なんか……結婚式っていいなぁ……って思ってて。感慨に浸ってた」
すると研士はわたしの前に立ち、「おまえいつおれと結婚する?」
「け、研士……っ!!」
「ゆでだこみたくなんのなぁ、可愛い」ぽんぽん、とわたしの頭を撫でる余裕ぶりがほんのすこし憎らしい。――すると、背後から気配が。
「……瑠那はまだ嫁にやらんぞ」
「創。どちらかと言えばそれはおれの台詞なのだが」
「……お父さん。……創」
びしーっと正装姿で決める父と兄貴はなかなかの見ごたえだ。すると隣で研士がわたしに囁く。
「――逃げるぞ。瑠那」
「えっ」
あっ……と言う間に姫抱きにされ、わたしは連れ去られていた。見えないほうへ。まだ見えぬ見知らぬ世界の――希望に満ちた世界のほうへと。
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