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ちゅ、と、耳にキスをしながらそう囁いてくるこの人は、自分のもののように私の身体を弄ってくる。
目を覚ましたら、こんな状況になっているだなんて、誰が思うだろうか。
意味が、分からなすぎる。
それから、その指が中心をも弄り出そうとしたところで、もう耐えきれずに声を上げていた。
「〜〜〜っ、あのっ、本当に、やめてっ、!」
腰を捻って逃げようとしながらそう声をあげれば、意外にも、すっ、とその手を離してくれた。
お腹に回っていた腕も離れて、反射的に水飛沫をあげながら立ち上がって距離を取る。
「なーに。怒った?」
くすくすと軽く笑いながら、浴槽に寄り掛かっているその人は楽しそうな顔をして私を見上げてきている。
さっきされたことも相まって、その態度が余計に癪に触ってきっと睨みつけてしまう。
「あなた、誰なのっ!それに、ここはどこ!」
尖った声でそう声をあげるけれど、この人は笑みを浮かべたまま。
ーーーいいえ、違う。笑っている訳では、ない。
その瞳の奥は、探るような冷たいものだと、気付いた矢先だ。
「それはこっちのセリフ。人の家の地図握りしめて外でぶっ倒れてたお姉さんこそ、何か言うことあるんじゃないの?」
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