9人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゴリアテちゃん、悪いけどしばらくはここでおとなしくしててね?」
他方、この小舟の船尾から伸びるロープの先には、同様の大きさをした艀(※筏のような扁平な舟)が繋がれているが、その上に載る超巨大な帆布の包みへマリアンネは声をかける……その言葉からもわかる通り、中身は彼女のゴーレム〝ゴリアテ〟である。
頼もしい戦力として今回もゴリアテを連れて行かない手はないが、さすがに重くて小舟に乗せるのには無理があるし、そのままではやはり目立つのでこんな有様となった。
「ソンナ事より、早く行かなくてイイのカ? 探索隊ノ舟ハもう見えなくなったネ」
そうして皆が無駄話をしていると、額に手をやって川下を眺めていた露華がそう呟く。
「……おっと、お喋りしてる場合じゃなかったね。そんじゃま、僕らも満を持して船出といきますか。さ、早く乗って!」
その言葉に現在の状況を思い出すと、おまえが言うなという感じではあるがマルクは仲間達を急かす。
「みんな、準備はいいね? リュカくん、川の真ん中出るまでオールお願い」
「おうよ!」
「それでは、ペケーニョ・レヴィアタン号、出発進行っ!」
そして、リュカにオールを任せると桟橋に繋いでおいた縄を解き、船長マルクの号令一下、彼らを乗せた小さな海賊船はゆっくりと運河を進み始めた……。
(El Pirata Del Grimorio Ⅱ/El Dorado Fantasma ~幻の黄金郷~ つづく)
最初のコメントを投稿しよう!