Ⅶ 小舟の船出

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「ゴリアテちゃん、悪いけどしばらくはここでおとなしくしててね?」  他方、この小舟(ボート)の船尾から伸びるロープの先には、同様の大きさをした(はしけ)(※(いかだ)のような扁平な舟)が繋がれているが、その上に載る超巨大な帆布の包みへマリアンネは声をかける……その言葉からもわかる通り、中身は彼女のゴーレム〝ゴリアテ〟である。  頼もしい戦力として今回もゴリアテを連れて行かない手はないが、さすがに重くて小舟(ボート)に乗せるのには無理があるし、そのままではやはり目立つのでこんな有様となった。 「ソンナ事より、早く行かなくてイイのカ? 探索隊ノ舟ハもう見えなくなったネ」  そうして皆が無駄話をしていると、額に手をやって川下を眺めていた露華がそう呟く。 「……おっと、お喋りしてる場合じゃなかったね。そんじゃま、僕らも満を持して船出といきますか。さ、早く乗って!」  その言葉に現在の状況を思い出すと、おまえが言うなという感じではあるがマルクは仲間達を急かす。 「みんな、準備はいいね? リュカくん、川の真ん中出るまでオールお願い」 「おうよ!」 「それでは、ペケーニョ・レヴィアタン号、出発進行っ!」  そして、リュカにオールを任せると桟橋に繋いでおいた縄を解き、船長マルクの号令一下、彼らを乗せた小さな海賊船はゆっくりと運河を進み始めた……。 (El Pirata Del Grimorio Ⅱ/El Dorado Fantasma ~幻の黄金郷~ つづく)
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