Ⅵ 探索隊の出発

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 それに兵達は「オォォォーッ…!」と再び大歓声を轟かせ、百五十名近くになる大所帯の黄金郷探索隊はついにゆっくりと進軍を開始した。 「密林(ジャングル)へ入ってからの案内、しかと頼むぞ?」 「へえ、一生懸命、勤めさせていただきます」  騎乗で先頭を行くフランデスのとなりには、水先案内人のウラタロが荷物を背負いながら徒歩で並行し……。 「ずっと副王宮に閉じこもっていましたから、こうして馬車でお出かけするのも久しぶりですわね……頬を撫でる心地よい風……この開放感、堪らないですわあ!」 「まるでパレードのような……わたくし達まで高貴な姫君になったみたいですわね、ジェイヌさん!」 「これで王侯貴族のイケメンズ達からも求婚されるかもしれませんわよ、マリアーさん!」  そのすぐ後には〝黒い雌鶏〟を携えて、豪奢な屋根なしの馬車に乗ったイサベリーナ&侍女達が続く……。 「ハーソン団長の読みによると、魔導書が副王宮から持ち出されたこの機を狙って、必ずや禁書の秘鍵団は仕掛けてくるだろうとのこと……全員、くれぐれも気を抜くなよ?」 「そいつは楽しみ。なあに、ヒミーゴの兵の手を煩わせるまでもなく、俺達だけで返り討ちにしてやりまさあ!」  さらにその馬車の周囲をエラクルスら羊角騎士団の騎士達が固め、最後に一般兵百名が長蛇の列を作ると、堅固な要塞の門を潜った一行はヒミーゴの目抜き通りを威風堂々と進んでゆく……道沿いには大勢の市民達が立ち止まってその勇姿を眺め、先程、マリアーも言っていたように、その行進の有様はまさしくパレードの如きであった──。
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