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責め立てられるとでも勘違いしていたのか。唇を噛む来栖紗良に、俺は追い討ちをかける。 「難しさを更に強くさせるために、殺人に至る過程と思考だ。何を考え、どのような行動を取るのか。それが明確になり、倣わせれぱ、誰かによるただの殺人だ。一人の加害者と、一人の被害者しかいない。植え付けられたことにすら本人が気付かなければ、完全犯罪となるだろう。教唆など、存在しない」 「はぁ……。はぁ……」 吐き気を堪えるように、来栖紗良は荒い呼吸を繰り返した。それでも、突き刺すような視線は逸らさない。 嫌悪と恐怖。二つの感情を抱え、来栖紗良は唾棄するように、言った。 「狂ってる」 「自覚している」 平然と。笑みすら浮かべての返答が、来栖紗良の感情を濃くさせる。 「……僕」 ストーカー。蔑みの視線を無くさない日下部もまた、滑稽だ。 「君みたいな人を、何て言うか知ってる。サイコパスって言うんだよ」 「サイコパスかぁ」 しみじみと。体の中に浸透させていくように、噛み締める。 「なら、ちょうどいいな」 「ちょうど、いい?」 「サイコパスとストーカーと殺人犯ーーいや、二人も殺していれば殺人鬼だな。ここには狂った人間しかいない。誰かの正体を第三者に明かせば、自分の罪も白日の下に晒される。狂った人間同士、持ちつ持たれつの関係を築いていこう」 「誰がっ……!」 「言っておくが、君達に拒否権はない」 嫌悪、恐怖、憤懣。増えていく感情に埒が明かないと、俺は威圧的に言い切った。
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