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私は先日のスイカの時の祖母とのやりとりを話した。
「そう。
お父さんがそばにいるんだ。」
母がちょっと涙ぐんだ。
「結衣、おばあちゃんのそばにいてくれてありがとう。
結衣が夏休み中ここにいてくれて良かった。」
母もだんだん歳をとる母親が心配なようだった。
近くに住んでいる伯父さんが、祖母に一緒に住もうと言っても、首を縦に振らない。
多分ここを離れるのが嫌なのだ。
この高台の家は祖父が一生懸命働いて建てた自慢の家だった。
自分の力で会社を興し、3人の子供を立派に育てた自負が祖父にはあった。
今、会社は伯父が継いではいるが、祖父は最後、入院する直前まで会社に毎日顔を出していたと伯父が言っていた。
祖母はそんな祖父との思い出が詰まった家を離れるのが嫌なのだ。
「お母さん、夏休み中は私に任せてね。」
私でも何か役に立てることが嬉しかった。
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