過去と未来

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グイッ 「待って下さい!篠崎さん!」 追い付かれてしまった、、、。 そして彼は腕を掴んで引き止めている。腕に伝わる力は男の人の力強さそのものなのに、決して痛みを感じない事に彼の優しさを感じる。 私はその手を振りほどく事も出来なければ振り向く事も出来ずにただ呆然と立ち尽くしてしまった。 「、、、俺、何か気に触る事を言ってしまいましたか?もしそうならごめんなさい。」 首を横に振るのが精一杯だ。 噛みしめた唇が小刻みに震える。 「そうでしたか、、、腕を掴んだりしてすみません。」 そう言うと彼の方からゆっくり手を離してくれた。 伝えなきゃダメ。 山上君は何も悪くなんかないって。 「ちが、、、うの。山上君のせいなんかじゃ無いの、、、。」 頑張ってはみたものの上手く言葉に出来ない。震える唇、声、、、 滲む視界から溢れ落ちる涙を止める事が出来なかった。
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