過去と未来

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「すみません。仕事中に変な事言って。俺、あなたと一緒に仕事が出来て良かったです。そこは課長と先輩に感謝かな。あの、、、良かったらご飯ご一緒しません?」 そう言って腕時計を指差して穏やかに微笑んだ。アナログ時計の針は12時を指していてちょうどお昼時である事を伝えている。 あまりに自然なお誘いに思わずクスっと笑ってしまった。 「はい。ご一緒しましょうか。」 うちの会社には社員食堂がある。 あまり大きなものでは無いけれど、安くて 美味しいご飯が食べられるからお昼時はいつもあっという間に人で一杯になってしまう。 早めに向かったお陰かまださほど混み合ってはいなかった。 「良かった。まだ混んで無いですね。」 「そうだね。」 「今日は何にしようかなぁ、、、あ、いつもお世話になってるんで今日は奢らせて下さい。」 「え?悪いからいいよ。大してお世話出来てないから。」 「ダメです。こういう時は格好つけさせて下さいよ。」 そう言って腕組みをしながら頷く彼の姿が微笑ましい。 「あはは。ありがとう。お言葉に甘えさせて頂きます。」 好きなメニューを選んだら同じメニューを指さしてしまって顔を見合わせて一緒に笑った。 ざわつく食堂内で重なる2人の笑い声が心地よく響いている。
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