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仕事の話は無しですからね。
彼はそう言ってご飯を食べながら色んな話をしてくれた。
休日の過ごし方
実家で飼っている可愛い犬の話
ハマっているスマホゲームの話
他愛もない会話が凄く楽しい。
私はどちらかというと聞き役になって話を聞く事が多い。
だけど彼は聞く側にばかりならない様に上手くリードしてくれて自然と話す側にもなっていた。
「篠崎さん、笑うと本当に可愛いですよね。」
「!?」
あまりに唐突。だけど嫌味の無い褒め言葉だ。
『海は笑うと本当に可愛いよな。』
重なる言葉、あの日の記憶、、、。
飾らない言葉
気取らない態度、、、
2人は全く違うはずなのに、どうして、、、。
重なったのは言葉だけではなかった。私の中から消えてはくれないあの人の姿が彼と重なる。
「篠崎さん!」
目の前がゆっくりと滲んでいくのを感じてその場を走り去っていた。こんな顔、絶対に見せられないし見られたくない。
忙しなく変わっていく感情が心を置き去りにする。
私はまだ過去に囚われている。
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