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雌雄を決する 3/10
「あん?」
「僕と勝負して、負けたら保坂さんと別れてほしい。いや、別れるべきだ。別れろ」
「はあん? 意味不明すぎるんだが」
「僕はこれ以上、お前に保坂さんが怒鳴られるのを見たくないんだ」
「お前が勝手に見てるだけだろ。見てくんなって」
「教室で大声出しておいて何を言ってるんだよ。そもそも二人は付き合うべきじゃなかったと僕は思ってる。関係が対等じゃない」
「そんなのお前が決めることじゃないだろ」
「安藤が決めることでもないよ。本当は保坂さんが決めることなんだけど、あいにくお前に対して萎縮していて、正常な判断ができなくなってるんだ。だから僕が代わりに二人を別れさせる。不良品と一緒だよ。リコールだ」
「俺がリコール品だってか?」
「そう言ったつもりだけど、理解できなかった?」
周りで僕らのやりとり聞いていたクラスメイトたちがざわざわし始めた。
「おいおいおい。長良が安藤に挑んでるぞ」
「安藤から保坂さんを奪おうとしてる!」
「やっちゃえ、やっちゃえ!」
悪目立ちするのは僕の本意ではないけれど、注目を浴びたことで安藤は逃げられなくなった。チッ、と不快そうに舌を打つ。
「長良が負けたらどうしてくれるんだよ」
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