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「そうそう! あれ? でも、吉沢くんって誰に振られたの?」
「光里先輩、ここにも鈍感がもう一人~!」
いずみが沙織を指差して、楽しそうにキャッキャッと声を立てて笑う。
それにつられて、光里も笑い出し、一瞬キョトンとした沙織も、訳もわからず雰囲気に飲まれて笑い始めた。
「もうとっくに諦めたっつぅの。
男として見られたことなんか一度もないんだからさ……」
吉沢は下を向いて小さく呟いてみるが、何がスイッチになったんだか、三人は笑い続けている。
「あー! 何だよ、もう! 全員笑い上戸かよ。ま、いいか、変に絡まれるより……。
てか、社長、プチ祝賀会って名目なのに、本人が忙しくて参加できないかも…ってどういうこと……」
ブーッ、ブーッ、ブーッ……
机の上に置いたスマートフォンのバイブが響き、吉沢は慌てて電話を取る。
「社長! ……え~?! まだもう少しかかるんですかぁ? 早く来て下さいよ~!
俺一人じゃ……あ、もう切りやがった」
吉沢の大きな溜息は、女三人の笑い声にすぐに掻き消されてしまった。
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