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――初夏のある晴れた日――
澄み切った高く青い空に、真っ白な曇が、溶け合うように浮かんでいる。
教会の鐘の音が、どこまでも広がる空に響き渡る。
「ホント、素敵な式だったね~! 沙織先輩、綺麗だったー!」
チャペルの外で、花嫁と花婿が出て来るのを迎える為に並んだ列の後方で、いずみが頬を紅潮させ、溜め息をつく。
「うんうん! 綺麗だったな。社長も今日はイケメンに磨きがかかってたしな」
吉沢もいずみに同意して、何度も頷く。
同じ場所に、光里と楓の姿もあった。
「あ~何かさ、普段、家で一人で仕事してるから、こんな正装するの久し振りで、落ち着かな~い。
光里ちゃん、私、変じゃない?」
「え? 全然! すごく似合ってますよ。素敵です!
ところで楓さん、この後のパーティー、ご主人の歌、すっごい楽しみにしてますからね!」
「あ、うん。何とかスケジュール調整できたから、パーティーには間に合いそうよ。良かったわ~」
「長瀬裕一郎がお祝いに歌ってくれるなんてサプライズ!
新郎新婦も、お客さん達も、ビックリして喜んじゃいますよね。
楽しみ〜!」
「喜んでくれるといいけどね。
裕一郎、ライブで慣れてる筈なのに、バカみたいに緊張してたわ」
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