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「いずみちゃーーん!!」 吉沢といずみが揉めていると、少し離れた場所から、いずみを呼ぶ沙織の大きな声がした。 「いずみちゃん! 上っ!」 続く光里の声に、いずみが上を見上げると、青い空から花嫁のブーケが降って来た。 咄嗟にブーケを受け止めたいずみだったが、無理な体勢で受け取ったので、バランスを崩して倒れそうになる。 「危なっ……!」 すかさず、吉沢がいずみの身体を抱き止めて支え、危うく難を逃れた。 「おぉ〜〜!!」 周囲から起こる安堵の声が、すぐに冷やかしの声に変わる。 図らずも、抱き合うような格好になってしまった吉沢といずみは、弾かれたように慌てて離れた。 バランスを崩した時に、石畳の隙間にヒールが挟まったようで、いずみの左足のパンプスが脱げて転がっている。 「あ〜ぁ、何やってんだ。 こんな高いヒール履いて来るからだよ。よくこんなの履いて歩けるよな」 吉沢は文句を言いながらも、それを拾い、いずみの前にしゃがみ込んで履かせてやった。 「だって、こういう時くらい、めいっぱいオシャレしたいもん……」 いずみは照れ臭そうに、吉沢の肩に掴まりながら、小さな声で言った。 「おっ、まるでシンデレラと王子様! ねっ……ヤッパそういうことだよ」 光里が声を潜めて耳打ちすると、二人は一瞬合わせた目をすぐに逸らし、平静を装う振りをした。 しかし、二人が頬を染めていたのを、沙織も龍司も見逃さず、顔を見合わせ笑い合った。
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