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カルテ02~空色の船旅
スカイ達は、クリスタル王国へとりあえず行くことにした。
レイン国からクリスタル王国へは、一度ボートに乗りそこから大きな船に乗り換えるか、馬をかりて陸から山を二つばかり越えて行くしかない。
スカイ達は、考えたが、船の方が時間がかからない為、船に乗ることにした。船は、スカイがケチって蟹用の漁船である為、船長さんに頼みこんで到着まで船内の掃除や食事をするということで話をつけた。
「う~ん、もうちょっと塩かなぁ?」
エンは、船内の台所で大鍋のビーフシチューを
ぐるぐるかき混ぜながらおたまで味見した。
「どれ……」
スカイも人差し指にちょっとつけて一緒に味見する。
「そうだな、もう少々あってもよいかもな、
あと、赤ワインとか入れてみたらうまいぞ」
「赤ワイン、良いわね」
横でお皿を磨きながらコサメが
「新婚ごっこは、良いから。スカイは、デッキの清掃してきて!」
っと、小姑みたいに言った。
コサメは、最近あまりスカイが、構ってくれないので少々むくれているのである。
『僕も、構って欲しい……』
なんとなくコサメの気持ちをさっしたスカイは、
「よし、そんじゃコサメも一緒に来て手伝えよ~」
っと、コサメを連れてデッキへと上がって行った。
『スカイってなんだかんだ言って、面倒見良いわよね~、一人っ子の割に。』
台所で、一人残されたエンは、
「コサメ、スカイパパが構ってくれないからって
むくれてかわいいわ~、かわいいから何かお菓子つくってあげよ」
エンは、戸棚から小麦粉とバターと卵を取り出してそれをボールにいれて練っていった。なんだかんだエンも、コサメが可愛くて仕方ないようである。
クリスタル王国へは、船で十日あたりで到着らしい。五日目に一度船をピエタという町にとめ、それからクリスタル王国へとまた、船を出すという。
それまで、しばし楽しい船旅であることを願いたい。
デッキへと上がったスカイは、バケツとブラシを持ってゴシゴシで床を磨いた。
コサメも、柱なんかを雑巾でフキフキしている。
すると、漁師で小太りないかにもっていう感じのひげをはやした奴がコサメに
「おい、そこのドラゴン坊主。」
っと、声をかけてきた。
「僕、コサメだよ。なぁに?」
コサメは、そいつの方によって飛んで行った
「フフッ、これやるよ」
漁師は、手に持っていたデカイ蟹をコサメに投げた。
「かに~」
コサメは、まだ生きている赤カニを持ってはしゃいだ。
スカイは、
「え! 良いんですか? これ、競りに出すものじゃ……」
スカイは、目を丸くして訊いた。
「あぁ、良いんだ良いんだ。それ、
最近大漁に上がってきてる品種で今日もいっぱいだから船長が坊主にやってこいって行ったんだよ。船長、あれで可愛くて小さな生き物大好きなんだよ。後で、話してやったら喜ぶから遊びに行ってやってくれや」
漁師のオヤジは、タバコをふかしながら言った。
スカイは、
『世の中のでかくて筋肉質なマッチョオヤジ達は、なぜだか小動物が好きらしい』
と、訳のわからない結論を出しながらマルジャーラ国王、カルムを思い出していた。
「そうなんですか、それであっさり漁船に乗ることに了承してくれたんですね」
っと、スカイは、勝手に納得した。
漁師オヤジは、
「俺達漁師は、一度海に出ると半年や一年帰れね~から、村に置いてきた家族に会いたくてもなかなかなぁ……だからよ、コサメ坊主が船長と話してくれたら船長もめっちゃ喜ぶと思うのよ」
漁師は、クックッと言って笑った。
「スカイ~、コサメ~!」
エンが、下の台所から出てデッキへ上がってきた。手には紙袋を何個か抱えていて、そこからは、甘い香ばしい匂いがただよう。
「あっ、漁師さん達にも、これ、フライドポテトとクッキーとお茶です。みんなで一緒に休憩しようと思ってつくってきました。」
「おっ! そりゃ良い。ちょうど今は波も落ちついてるし船長も呼んでくる!」
っと、舵をとっている船長さんへと漁師は声を
かけに行った。
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