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船は、一度ひと休みするため二日ばかり東の小さな町ピエタにつけた。
久しぶりの陸に足をつけたスカイは、
「くわ~……」
天に向けて手を伸ばして伸びをした。
「はぁ~、良い天気ね~」
エンも、それに続いて伸びをした。
ピエタは、南東に位置する場のため南からくる暖かい風がくる。その為、食材も南のレイン国とあまり代わり映えはないし気候もさほど変わらない。いまは、季節も真夏なのでスカイもエンも半袖といったいつもより一枚少ない程度の格好をしている。
「エン~、スカイ~露店がいっぱいあるよ~」
スカイのカバンから少し顔を出しながらコサメが
ワクワク顔で言った。
「ちょうど昼飯前だし、その変の店でなんか食べるか~」
スカイは、そう言うと焼き串の並んでいる露店で
いか串を三本買った。
「したら、私は果汁水でも買ってくるから、コサメは、どこか座って食べるところ探して来て」
っと、エンは、露店を見に行った。
コサメは、串を買ってこっちに戻ってきたスカイと、ちょうど良さげな公園を見付けて噴水の横の白いベンチへと腰をおろした。
スカイは、買って来たポテトを口に頬ばりながら
「なんか、飲みたい……」
っと、言った。
「エン……おそいね~」
コサメは、前方にある露店の方に身体を向けて言った。
エンが、果汁水を買いに行ってから二十分くらいたっただろうか……
「ちょっと遅いな」
スカイも、それなりに心配になったのか、ポテトで喉が乾いたのかわからないが、とりあえず
「水……」
っと、呟いてコサメと露店へと引き返すことにした。
露店で果汁水を買ったスカイは、一口飲むと
「おっちゃん、水色の長いシャツきて赤いベレー帽かぶった小柄な娘見なかった?」
っと、訊いた。
おっちゃんは、
「あぁ、その嬢ちゃんならさっき果汁水を水筒に入れて公園の方に駆けて行ったよ」
っと、言った。
……それは、おかしい
「おっちゃん、ありがとう」
スカイは、果汁水を飲み干すと
「コサメ、俺達エンとすれ違ってないよな?」
っと、訊いた。
「エンいなかったと思う……」
「したら、どこかで何か見付けたか、何かあってそのへんの横道に入ってるな」
スカイは、道をもどる途中であった横道をまがる前に横にあった屋台でエンを見かけなかったかともう一度訊いてみた。
店の年寄り主人は、
「あぁ、その子ならさっきそこで絡まれてた子供助けようとして、失敗して自分自身も連れてかれたよ……可愛そうにあれは、絶対どこか売られるぞ……」
「!?」
『エンのやつ……まったく!』
……「ありがとうございます……」
スカイは、礼を言うと、コサメをカバンに入れ、その場を走り出した……__
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