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フェノメノン
ぬいぐるみを脱ぎ
浮遊するうねり
想像していたほど
多くはない記憶
暗がりだった
貪るためのキッチンは
あたたかいパンを切る途中
ベランダからさよなら
午後3時半
伝染病を撒く
L'an mil neuf cens nonante neuf sept mois
Du ciel viendra vn grand Roy deffraieur
Resusciter le grand Roy d'Angolmois.
Auant apres Mars regner par bon heur.
誰もいない街へ
いつもの道をふらり
のろまな四肢のような
ありふれた糸遊
わからないか?
地獄なんてないと
水族館を逃げ出した
魚が雲に溶けてゆく
彼らが降ることはない
きっと、この世界にはね
瞬きのあと
微笑みを返して
公園に乗り上げた車の上で駄弁る
湿気(しけっ)たお菓子を片手に
最後は小さな焚き火にして
ポップコーンを作った
「くだらない映画みたい」
太陽が転がる
気づけばふたりは子どもになって
新しい記憶を作ってしまった
もういいんだよ
夢だったとしても
本当は何も
覚えていないんだ
激しく燃える火のそばで
君と手を繋ぐ
広場に残るカチューシャのあと
伝(つて)の終わり
指先でなぞる
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