想い

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想い

「ねえ、ナンネ。身体を重ねるのはね、みんな理由が違うんだって。俺は一番最初、君が気になったから、君を知りたかったし仲良くなりたかったからなんだ。今、俺がナンネとそうしたいと思うのはね、愛しているからだよ?」  愛。  私は人を愛したことがなかった。  ダリアが好きだと自覚して「愛してる」と言ったときは、ダリアに『友達』だから違うと言われた。  私がティト様を『愛している』と自覚したのは…  そう、私がそうなったように、徐々に好きになって、恋しくなって、ある日突然自覚するものなのかもしれない。  私はこのひとを『愛している』と… 「ナンネはどう…?お仕事のために、生きるためにしていたことだから、やっぱり俺とはもうしたくない…?」  優しくそう私に尋ねるティト様。  …ティト様が私を求めている…  それが同情でなく、自分の欲のためだけでもないなら…  私を、明日を共に生きるために必要としてくれるなら…  そんな思いが私に許されるなら… 「…私と共に明日を生きてくれるなら、愛するティト様を、今宵求める逢瀬を…。私のこの夢の中で、どうかティト様…!」  懇願する私に、ティト様は真剣な表情から、いつもの穏やかな笑みに変わる。 「優しくするよ、ナンネ…。ナンネはね、俺を喜ばせようなんて無理を、もうしなくていいんだ。俺とナンネは対等だよ?『様』なんて付けなくていい。俺に愛されてるんだって、ただ思っていてほしい…」 「はい…!」  温かいものが私の身体の中を流れているのを感じる。ティトとの逢瀬のときにだけ、感じる感触。  私の返事ののち、ティトの手は優しく私の服を解く。そして自らの服も解き、見えないベッドのようなフワフワとした空間に私の身を横たわせ、包むように抱き締めた。 「自分の思うまま感じて、ナンネ…」  優しいティトの手が私の身体中をゆっくりと撫で、私の胸は高鳴る。 「あっ…あぁ…」 「俺にも触れて、ナンネ…」  二人の中心は熱を帯び、抱き締めあって互いを求めた。 「ナンネ、もっと、抱き締めたい…!!」 「私も、ティト…!」  そして二人の身体は重なる。 「好き、だよナンネ…!愛してるよ…!」 「っ…私も、ティト…!愛しています…!!」  …これが愛し合うということ。相手を愛するとこんなにも違うのだと、私は幸せを噛み締めながら思った。
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