明るい彼

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その日を皮切りに、私は多分、いじめの被害者になった。 教科書やノートがなくなる、全然別のところで見つかり、他のクラスの顔も知らない親切な人が教室まで届けてくれたり。 その見つかったノートや教科書には大抵、外の目立つ場所ではなく、中のどこかに、私に対する悪口がいくつも書かれていた。 お昼休みは…加奈たち数人が、私の悪口を言っているのが、完全に聞こえる。 「あの子、マジでウザイ…教室にいるだけで雰囲気暗くなるわ…あーーー転校してくんないかな…ってか、前のガッコに戻れって…」 「うわ…加奈…キツっ…怖っ… 敵に回したくないわ、マジで…」 きゃはははっ… !! あはははは…  周りの別のグループも見て見ぬふり…誰も私を助けてくれる人なんていない。 そんなのわかってる… いじめなんてこんなものだ…やめろよって勇気を出して口に出すと、たちまち今度はその人がターゲットになるだけ… だから私は諦めている…。 自分のこの状況…  私は根暗で、ただの、本好き…他に特技もないし、お喋りだって不得意だ。 自分のことを表現するのだって、人より何倍も時間がかかる…。 いまだに何も考えずに、普通に話せるのは家族だけで…。 不器用で要領の悪い、暗くてダメな人間…  そんな私だから、こんな風に悪口を言われて、いじめられるんだ…。
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