明るい彼

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加奈の周りを囲んでいる友達の一人と目が合う。 ドキリとする。 嫌だけど、今からおもむろに教室を出ていくのもある意味で、危険だ… 出る間際、何か言われてしまいそうだし、席を外している間にも、また何か机の中のモノを隠されたりするかもしれない…。 私はもう、そんな思考過程でしかものを考えられないほどに、加奈たちに嫌がらせを受け続けてきたのだ。 今から一月ほど前…つまり、 転入してきて一ヵ月ほど経ったころ、休み時間に本を読んている時に、頭上から、初めて加奈に声を掛けられた。 「ねえ…安達さん…あんたってさ、ここにきてまともに話してるの見たことないんだけど…口、聞けないの…?」 見上げると、加奈と…その、友人たち… いつもまるで取り巻きのように加奈にくっついている女の子たちが数人、腕を組んで私を見下ろしている。    何…?      私は、少し悪意のある複数の目を前にして、委縮してしまう。
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