明るい彼

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「あ…あの…あの…」 何か話そうとするが、緊張でうまく言葉が出てきてくれない…。 「…あの… わ… 私…」 普通にしゃべれます…緊張してしまって、発言するのに人より時間がかかるだけです… そう、言いかけた時、 「…もういいよ…無理して喋んなくて。別に私らも、あんたみたいな暗い人間と敢えて話したいわけじゃないし…なんかあんた、転入してきてずっとだんまりだから、何考えてんだろう…何が気にくわないんだろうって、思ってただけ…もういい、みんな、行こ行こ…!」 そう言って、加奈たちは教室の外へ連れ立って出て行ってしまった。 そっか… 私みたいにずっとだんまりだと… 何を考えているかわからない… 何か怒ってるかも…みたいに…そう、人には受け取られてしまうんだ…。 かと言って、話すのは得意じゃないし、自己主張だって苦手だ…。 所詮、私の性格では無理なんだ…友達を作るのも、好かれるもの…。 私は妙に納得しながら、再び読みかけの本に手をかけた。 忘れてしまおう…今のこの状況… 私には友達と言える友達はいない…。 本の世界に入り込みさえすれば…私はなんとか、まだ生きていられる…。 その時はそう、思っていたのに…  その日の翌日から、そんなことをいえなくなってくる事態が、           私の身に起きるようになる。
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