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私は男の身の上話を聞いて、完全に言葉を発することができなくなった。
あまりに衝撃的な話で…まだうまく、自分の中で飲み込むことができない。
「おや…貴女、さっきまでキャンキャンと声をあげていたのに…途端に静かになりましたね…驚いたんですか…?私の話に…」
男が気付いたように私の様子をうかがう。
「まあ貴女は、不倫なんかに足を突っ込んでいるとはいえ至極、まっとうな人間だから、私の妹に対するこんな感情は、理解できないでしょうね…。
…というか、本当にかなり、引いていますね…分かりやすい人だ…素直な反応過ぎて、危うく、好きになってしまいそうですよ…くくく…」
男が私を揶揄する。
「…まあ、つまり…妹と意を決して寝た…その翌日に、両親に死なれたわけですよ…。
しかも対向車線からはみ出してきた居眠り中のトラック車両と正面衝突ですよ…?あんまりな話でしょう…」
男がワインの瓶をまた、手にする。
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