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まだ飲むつもりなのかと見守る。 …やはりグラスに注ぎ、煽るようにして飲む。 「私たちは、突然絶望の淵に立たされて思いました… これは罰だと… 私が妹に手を出した罰だと…妹と通じた、罰だと…そう感じました。 このタイミングで両親がそんな事故で死ぬだなんて… しかも私たちがプレゼントした旅行の帰りに命を奪われるなんて…自分達のせいだと…もう、そうとしか、思えなかった…。 これを最後に、私たちは関係を断ちました。 真由が…行為の際にうわごとのように話したように、本当に一度だけの…生涯で一度だけの私たちの交わり… その後二度と、私と真由が繋がることはありませんでした。 真由の大学の費用は、両親の遺産で賄い、私たちは互いに、意識的にお互いがなるべく顔を合わせないような形で…なんとか同居を続けました。 そしてついに、真由は出会った… それが、清春君だったというわけです…。」 「…… …」        言葉が出てこない。 ただ、理解した… この男の真由に対する気持ちを… 男の心から愛する真由を…      傷付けた清春と、私…。 私と清春はきっと…  この男の憎むべき標的になったのだろう。 …そのことだけは、     あまり回らない頭でも、理解できた…
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