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「さ…私の身の上話はそろそろ終盤です。結構包み隠さず話した方だと思いますよ…」 私は無言のまま男を見る。 この男は… 一体どういう気持ちで私を尾行し続けたのだろう…背筋がゾクリとする。 「真由はあの会社に就職して、気分新たに一歩を踏み出そうとしていた…そんな時、清春と出会い、恋に落ちたのです…。真由の相手はもちろん、兄である私なはずがない…。 だから私はもちろん、真由を祝福しました。 …あの夜を、一夜の夢として…全てをなかったことにして。 私が真由を手放して祝福したのは、清春という男が、真面目で誰にでも優しいいい青年だと、実際に会って確信したからです… 私が親代わりとなって、彼を厳しい目で観察した気分でいたのです。 だが…結果的にいうと、それは間違っていた… 清春は…平気な顔で真由をだまし…密かに貴女と通じ、私の大事な…愛する妹…真由を裏切った…。 まるであの女のように…」 男が辛そうに、顔をゆがめる。 「本音をはばからずに言うと、私はなんの障害もなく真由を自分のモノにできる清春が…羨ましくて仕方なかった…。 真由と血が繋がってさえいなければ…私は…真由を…手放すことはなかった…」 男が私を鋭い目つきで見た直後、すぐに表情を変える。 「ああ…今、そんなことを貴女に言ったって、もはや仕方がないことです。さあ…どうします?…あらためて貴女に尋ねます。 観念して、私のモノになりますか…? それともいっそ事実を世間にさらけ出し…全てを失いますか?」
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