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俺がノックをすると、すぐに中から反応があった。
良かった… 倒れてはいないようだ。
ただ、俺が声を掛けた直後の彼女の声は、ひどく驚き、凄く動揺しているように思えた。
俺はホッとすると同時に、
彼女の慌てたような声を耳にし
やはり男が、女性のシャワー中にノックなどすべきではなかったかもしれないと自分を恥じた。
その証拠に、彼女はその後、すぐに慌てたように部屋に戻って来てしまったからだ。
彼女が大丈夫だとわかり、
ゆっくりどうぞと取り繕うように声をかけたものの、
やはり、なんとなく間接的に急かしたような形に…なってしまったのかもしれない…。
髪はきちんと乾かせたのだろうか…
俺は本当に、彼女の安否を確認したかっただけなのだが…。
「お待たせしました…」
彼女は俺が伝えたとおりに、白いバスローブを羽織って、恥ずかしそうに俺の前に現れた。
紅く火照った顔…
やはり少し湯に当たり過ぎたのではないかと心配になる。
真っ直ぐで綺麗な瞳が、俺を見つめる…
それだけでドキリと、してしまう…
彼女にあんなことまでしておいて、今更何を緊張している…
俺は…童貞の学生かと、不意に笑いたくなる。
彼女を前にすると、
自分が…
今までの自分でなくなっていくような、
心許ない感覚に陥ってしまうのはなぜなんだろう…
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