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その後、私と交代で杉崎さんが洗面台へ向かう。
「俺も磨いてくるね、もちろん先に布団に入ってていいよ。あ…もしバスローブが少しでも濡れているならそこにあるナイトウェアに着替えてもいいよ?俺はこのまま、だけどね」
「…はい…」
ナイトウェア…
つまり寝間着…パジャマみたいなものねと頭では思いつつ、ふと頭をよぎる夕方の風景…。
この部屋にくる同じエレベーターに乗り合わせたカップルのうちの女性が、杉崎さんを見て、「修哉」と、確かに口にした…
苗字ではなく、名前を呼び捨てで…
あの女性は、きっと… 杉崎さんの前に付き合ったことがある、彼女さん…などではないだろうか…
なんとなく、距離感…二人に一瞬流れた空気感…から、そう思ってしまった。
すごく…
林さんと同じくらいに、美人な人だった…
大人で、グラマーで、私より背が高くて… とにかく、大人の女性…
こんな高級そうなホテル…
私は来たことが、一度もないのに…。
杉崎さんはチェックインの時から、なんだか慣れた様子で、対応も大人で…
やっぱり…拓海としか付き合ったことがない経験がない私と違って、何度も他の女性と利用したことがあるんだろうな…と思うと、チクリと胸の奥が痛んだ…。
私は一体、
こんな時に…この状況で、何を、考えているんだろう…
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