翔之介さんの大けが

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しかし、あたしの、期待もかなわず、その夜、翔之介さんは、高熱を出した。 「傷を負った後には、熱が出るものでございます……」 翔之介さんは、苦しそうにそう言った。 もう、一人で、押し入れの隅なんかに、寝かせておけない。 あたしは、翔之介さんを、手ぬぐいの布団のまま、そっと、持ち上げた。 「沙穂さま?」 「翔之介さん、あたしの部屋で、看病するから」 翔之介さんは慌てた。 「沙穂さまのお部屋へなど、めっそうもない」
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