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愛しき人
「頭は、気持ちがようございます……」
翔之介さんが言った。
「しかし、体は、寒気が止まりませぬ……」
そう言って、翔之介さんは、手ぬぐいの布団を首まで上げた。
あたしは、翔之介さんを、手ぬぐいの布団ごと、そっと、両手の手のひらで、包み込んだ。
「さ、沙穂さま……!」
「どう? 温かい?」
あたしは、戸惑う翔之介さんに訊いた。
「……温こうございます……」
翔之介さんが、じっと、あたしの目を見つめた。
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