愛しき人

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真夜中、二時をまわった頃だろうか、あたしは、トイレに目が覚めた。 隣を見ると、翔之介さんが寝ている。 あたしは、そっと、翔之介さんの顔に耳を近づけて、その寝息を確かめる。 良かった……。 ちゃんと生きている。 あたしは、翔之介さんを起こさないように、そっと、指先で、その小さなおでこに触った。 熱も引いている。 あたしは、安心して、部屋を出て、離れにあるトイレに向かった。 トイレは、古い武家屋敷なので、庭の中のようなところにあった。 トイレを済ませて、出て来たあたしは、異変に気付いた。
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