武家屋敷の奇跡

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武家屋敷の奇跡

あたしの溢れる涙は、瓦礫(がれき)の山にいくつも、落ちた。 と、その瓦礫の山が、動いた。 瓦礫が、ガラガラと崩れた。 そして、その中から、(すす)まみれの男の人が出て来た。 ああ! 翔之介さんだった! 普通の人間の大きさだったが、確かに、翔之介さんだった! 「翔之介さんっ!」 あたしは、夢中で抱き付いた。 「沙穂さま……」 翔之介さんも、ボロボロの姿で、茫然として立ち尽くしていた。
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