翔之介さんとドライブ

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「おお、美味です! ほろりと口の中で溶けまする」 「じゃあ、これでいい?」 「はい。金子(きんす)はここに……」 そう言って、翔之介さんは、着物の(たもと)から、小さな金色の小判を出した。 「しょ、翔之介さん、さすがに小判はまずいわ。それにそのサイズでは……。ここは、あたしが出しておくから」 「申し訳ありません……」 翔之介さんが、すまなそうに、頭を低く下げて言った。 あたしたちは、クッキーを買って、車に戻った。 「秋月先生!」 そう、呼び止められて、振り返ると、幸田先生だった。 丁度、翔之介さんがバッグから出たところだった。
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