翔之介さん危機一髪

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あたしは、すぐさま、翔之介さんを見た。 翔之介さんは、懸垂のように、バックミラーに腕でぶら下がっていたのだった。 「大丈夫? 翔之介さん!」 あたしは、翔之介さんに訊いた。 翔之介さんが、トンっと座席の上に降りた。 「はあ、腹を押された時は、胃のものが出るかと思いましたが、大丈夫です」 そう、翔之介さんは、笑顔で言った。 あたしは、心底、ホッとした。 翔之介さんの存在は、まともな大人にバレてはいけない。 桐島さんや相馬くんみたいな純粋な子供にだけ、正体が分かっても許されるのだ。
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