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京が顔を上げて、俺を見る。
開かれたページは主人公が相棒と出会うシーンだ。優しいタッチに折り紙のような施しを受けた男の子ふたりが手を繋いでいる。
───僕らはずっと一緒だ。これから先、何があろうと。
「やった」
京が笑った。その笑顔は俺の唇も解けさせた。
俺も京の隣に並ぶように身体を起こすと、京が絵本を俺と自分の間にある枕の上へ置く。
ふたりで大きな見開きを覗き込むと自然と肩がぶつかる。俺の肩の方が熱いけれど、やっぱり京にも温もりがあって、それがなんだかどうしようもなく、俺の中で歓びに流れた。
その絵本は友情がテーマだった。
宝物を探しに出かけた男の子「ロロ」は、ひとりぼっちの男の子「イハー」と出会う。
イハーはとても悲しい思い出のせいで、なかなか人を信用できなくなっていた。それでもロロと一緒に旅をするうちにたくさんの感情を取り戻していく。
───イハーは鏡って知ってる?
───かがみ?
───そう。鏡は、まるっきり同じ自分を映す魔法なんだ。
───ロロ、魔法なんてないよ。
───そうかもね。でも、僕とイハーはきっと鏡だよ。だって、僕ら、ほら!こんなにも同じだ!
ロロの言葉に、イハーは嬉しそうに笑う。
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