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その後、ふたりの冒険は続き、ある時、砂漠で出会った竜の炎でイハーの右腕には大きな火傷の痕が残ってしまう。
どこへ行ってもイハーの右腕を見て人々はひそひそと噂話をする。
再びイハーは心を閉ざして、ロロの目を盗んで誰もいない山奥の洞窟へこもってしまう。
───イハー、ここにいたんだね。
数日後、ロロはイハーを見つける。
真っ暗闇の中でイハーはロロの声だけを聞いて「僕はもう外には出ない」と閉じこもろうとする。そんなイハーにロロは楽しそうに言う。
───イハーに見て欲しいものがあるんだよ。ここじゃ見えないから、こっちへ来て。
ロロに手を引かれ、洞窟の出口まで来ると、明るい陽が差し込んでいる。
怯えるイハーにロロは、左腕を陽が差し込む隙間にあてがった。
ロロの左腕は、イハーのように派手になっていた。火傷ではないけれど、ガラガラと赤や黒、青がその腕に浮かび上がっている。
驚くイハーはいつの間にかロロの腕に釣られて外の世界に出ていた。いつかと同じようにロロは嬉しそうに笑う。
───魔法の花で塗ってもらったから、永遠にこのままさ。やっぱり僕とイハーは鏡だ。僕はイハーを見つけられて幸せだ。イハーは?
ニコニコと笑うロロに、イハーは笑って答える。宝物を見つけてもふたりの旅はまだまだ続く。
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