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いつのまにかそれが定位置になっていた。テレビ画面を見ながら、コンティニューを選んだ瞬間、京が呟いた。 「女()やなんだ?」 含みを持たせた声に、俺は反射的に振り返る。 見上げた先、京は黒真珠のような瞳を俺に向け、その口元は美しく微笑を象っていた。 俺は、敢えてそれを拾わずに、「お前もうライフル使うの禁止な」と画面へと逃げた。 それすらもきっと京には見透かされている。京は深追いはしない。堪能しているのだ。 俺が今の自身の判断は正しかったか否かを脳内で秤にかけ、苦悩し、後悔し、時間を巻き戻せればと思案するところまでも含めて。 「真昼、も少し生き延びてね」 「うっせ」 楽しそうな京の言葉が鼓膜を撫でる。 ───女はやなんだ? 京の言葉を反芻する。ああ、そうだよ。素直が美徳なのは掛け算の九九を暗記する年までだ。その頃には既に京を特別だと認めていた俺にとって、歳を重ねるということは柔らかな蚕の糸で自身の首を優しくそれでも確実に絞めつける行為だった。
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