26人が本棚に入れています
本棚に追加
空虚が芯を突く。吐き気が止まらない。まるで自殺未遂を繰り返してるみたいだ。
それなのに、俺は京が俺の前に女を見せるたびに、同じことを繰り返す。
目を閉じる。
揺られる電車の中で、無意識のうちに先程の行為が蘇る。
『最初は私からキスして、』
京と女が連なる。
『そしたら真昼くんが優しくベッドに寝かしつけてくれて』
俺と女が連なる。
『丁寧に身体中にキスしてくれて』
俺と京が─────、
片手で顔を覆う。
重ねた罪は後悔となって押し寄せる。決して引いてはくれない。
『真昼との初めて、まだあったね。』
京の声が頭の奥で響く。
どこまでも甘美で、蜜を垂らして、始めて聴いたあの瞬間から鮮明に象られた罪状のような言葉。
最初のコメントを投稿しよう!