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ペロリ
陽彦の頬を伝う涙をレインが舐めた。
「わかるんだな」
救おうと努力したことを理解してくれてるようで、嬉しかったがその何倍も悔しくて申し訳なかった。
「ごめんな」
ペロリ、ペロペロ
涙がとまらなかった。
ボロボロに号泣するのを、レインは顔中なめ回して拭ってくれた。
優しいんだな…しんみり考えながら目を開けると、
「?」
レインと目が合った。
「??」
なんかさっきより、元気になってない?
弱々しくだがレインは尻尾を振り、つぶらな瞳で陽彦を見上げている。
身体に暖かみがもどり、呼吸のペースも安定してきていた。
「なんで?」
思い当たることといえば、涙を舐めたこと?
俺の涙に癒しのパワーがあったとか!?
そんなドラマみたいな展開、あるわけないけど、レインは間違いなく10分まえよりも回復していた。
それが重要なのであって、それ以外どうでもよかった。
「待ってろよ」
陽彦はいそいそと、犬用のミルクを温めにキッチンに立った。
涙が治癒に効くというのなら、いくらだってタマネギを刻んでやる。
だけどその前に栄養たっぷりのミルクを飲むんだぞ。
たけど、結局、レインはミルクを飲まなかった。
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