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「なんだ、シン王ってのは?」
魔王じゃなかったから好奇心が疼いた。
女神っぽい人はドヤ顔をして、説明しだしす。
「シン王とは人々に辛いものをどんどん薦める邪悪な者なのです!」
「…………」
なるほど、辛王か。
「それのどこが邪悪なんだ?」
「この世でおいしいのは砂糖のような甘いものに決まってます!
なのに辛王は甘いのは嫌いだと公言しているのです!」
俺も甘いのは苦手だから気が合いそうだ。
「さあ、シンゴよ! この聖剣を手にとり、辛王を倒して砂糖漬けにするのです!」
……こいつの方が邪悪だと思う。
「そういえばあんた、名前は?」
「砂糖の神、シュガーです」
さすが夢、名前が安直だ。
俺は剣を抜き、掲げる。
そしてその剣の平面で女神っぽい人、もといシュガーの額をおもいっきり叩く。
ガコーンッと洞窟に音が響いた。
男が女を殴るのは気が引けるが、夢だからいっか。
シュガーは漫画に出てきそうなたんこぶを額にこしらえて、仰向けに倒れる。
ちなみに目はぐるぐると回っている。
俺の夢は古典的な表現が得意なようだ。
そして俺は気絶したシュガーを放っといてさっさと背を向けて引き返した。
これが、この間見た変な夢だ。
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