強い絆の星座達

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「えっと…皆さん、この度は本当にお騒がせしました…」 友梨と蓮が晴れて復縁した翌日、友梨と蓮は昼休みに友人達を集めて無事に恋人同士に戻ったことを報告した。 「ハァー・・。本当に人騒がせな奴だよッ!」 蓮の友人慎也が呆れながらも安堵した表情をした。 「本当ですッ!私と慎也先輩の直談判のおかげですからねッ」 後輩のふみ香が腕を組みながらツンとしている。 「まぁー何はともあれ…良かったじゃない。久岡のあんな魂抜けた姿、痛々しくて見てられなかったわよ…」 千恵がニヤニヤしながら蓮を見た。 「・・・っ」 蓮は顔を赤くし背ける。 「本当だよー!久岡くんッ、もう紛らわしい事しちゃダメだよッ!あとは友梨も…短気にならないで仲良くするんだよッ!」 普段はおっとりしている永奈が、珍しく蓮と友梨にビシッと言う。 「はい…」 蓮と友梨は静かに呟いた。 千恵達はそんな永奈に目を丸くさせた後、お互いに笑い合った。 「まぁー、この子はしょんぼりだけどね」 銀一の友人である隆ノ介が、銀一の肩に腕を回しながら言う。 「…っっ。良いんだよッ!俺の事はァッ!」 銀一は顔を赤くしながら隆ノ介を追いやる。 「まぁ俺がちゃんと責任持って友梨を幸せにするからよッ!心配すんなよッ」 蓮は銀一の肩にポンッと手を乗せた。 「当たり前だろッ!今度前みたいな事してたら、すぐに花城さんを奪うからなァッ!」 銀一はギロリと蓮を睨む。 「ぜってぇしない…」 蓮もワナワナとしながら銀一を見る。 そんな二人に友梨は顔を赤くする。 「友梨が羨ましいな…」 千恵がポツリと呟いた。 「え…」 その場にいた仲間達が一斉に千恵を見た。 「あ…私ね…実は、おととい彼氏に振られたの。だから、彼氏に愛されてる友梨が羨ましいなって…」 千恵は苦笑いしながら言った。 「千恵…」 友梨や他の仲間達は驚いた様子で千恵を見た。 蓮は本屋での光景を思い出し思わず銀一と静かに目を合わせた。 「あぁ…、こんなめでたい二人の報告の時に何か空気悪くしちゃってごめんね…」 千恵が慌てて笑顔を取り繕った。 「ううん、そう言う正直な気持ちとか出来事…ちゃんと言ってくれてありがとう。話す事にタイミングとか関係ない。遠慮なんていらないよ、友達なんだから」 友梨は真っ直ぐ千恵を見ながら言った。 「友梨…」 千恵は涙を堪えながら友梨を見つめた。 「ありがとう…友梨」 千恵は小さく笑みを溢し俯いた。 その場にいた皆、優しい眼差しで千恵を見つめた。 -- 休み時間、銀一が廊下を歩いていると、千恵が遠くから声をかけて来た。 「向島ッ」 千恵が笑顔で銀一に手を振る。 「樋口さん」 銀一も手を振り返した。 「ねぇ、向島。私もプライドに栄養与えられたかな?」 千恵は笑顔で銀一の顔を覗いた。 銀一は目を丸くさせ、昨日の下校時に千恵に話した事を思い出した。 「うん。与えられてたね」 銀一も笑顔で千恵を見た。 「何か皆に言ってスッキリしたーっ!」 千恵が天を仰ぎ両手を伸ばしながら言うと、満面の笑顔で銀一を見た。 「それはきっと、プライドに栄養が行き届いたからだね」 銀一は笑いながら話す。 銀一と千恵はお互い笑い合った。 「・・・っ」 そんな千恵と銀一の姿を、千恵の元彼である真司が面白くなさそうに見つめていた。 -- 昼休み、友梨は蓮と二人でお昼を食べていた。 「やっと、まともにメシが喉を通る感じがするわ…」 蓮が口に運んだご飯を目を瞑りながら噛み締める。 「おおげさ…」 友梨は小さく笑いながら蓮を見た。 「だって俺、友梨とより戻せるまで気が気じゃなかったもん…」 蓮は口を尖らす。 そんな蓮を見た友梨は、少し照れながら口を開いた。 「蓮って…ほんとに私の前だけだったんだね」 「え…何が?」 蓮はキョトンとする。 「女子と仲良さそうにするの」 友梨はチラッと蓮を見る。 「え」 蓮は目を丸くさせた。 「私、この前偶然見ちゃったんだ。蓮があんなに女子に冷たく接してるの、初めて見てビックリした」 友梨は小さく笑みを浮かべた。 「は…え?」 蓮はみるみるうちに顔を赤くさせる。 「あの時、私嬉しかったんだ」 友梨は穏やかな表情をさせながら蓮を見る。 蓮は目を丸くさせる。 「それと…かっこよかった」 友梨が恥ずかしそうに目を逸らすとポツリと呟く。 「…っ!!」 蓮は呆然としながら友梨を凝視する。 「蓮ってさ、一途で芯はすごいしっかりしてて…かっこいいね」 友梨はそう言うと、顔を赤くさせながら蓮に向かってニッコリと微笑んだ。 「…っっ」 蓮は思わず友梨を抱き寄せた。 そして近くなった友梨の顔に優しく微笑み、そのまま唇を合わせた。 「…っっ」 友梨は驚き顔を真っ赤にさせるが、自然と目を閉じ蓮に身を委ねた。 穏やかな昼下がりに、心から幸せを感じる蓮と友梨なのであった。 -- 放課後- 友梨は廊下から裏庭に目をやると、蓮がいることに気がついた。 友梨は蓮を驚かそうと、裏庭に直行した。 友梨が裏庭に到着し、蓮に声をかけようとすると、女子二人が蓮に何やら詰め寄っていた。 「…っ!」 友梨は慌てて身を隠し、蓮達の様子をうかがった。 「蓮くん、花城さんとより戻したってホントー?」 女子の一人が蓮に言っていた。 「・・っ」 友梨は気まずい心境になりながらも黙って聞くことにした。 「うん」 蓮がしれっとしながら応える。 すると、女子達が蓮に高々な声を上げながら話し出した。 「何でそんなに花城さんが良いのー?蓮くんがそこまで好きになる理由がわからなーい」 「ほんと!だって花城さんてまじめでつまらなくない?怒りっぽいし」 「そうそう!それに蓮くん、いつも花城さんに怒られててかわいそう」 「蓮くん絶対苦労するよ!私だったら、蓮くんが他の女子と話してたって怒らないけどなー。私なら何でも許してあげるし、良い彼女になれるよ?」 「・・っ」 友梨は複雑な心境になり俯いた。 「ハハ…」 蓮は苦笑いした。 「・・・」 蓮の苦笑いを聞いた友梨は、顔を曇らせる。 蓮は心の中で実は我慢してるんじゃないかと、友梨は一気に不安になった。 すると、蓮が口を開いた。 「そんな安っぽい言葉、友梨は絶対言わないから断然友梨の方が良いに決まってんじゃん」 「…っ!!」 友梨は顔を上げ目を丸くさせた。 女子達は蓮の予想外な返しに驚愕した顔をさせながら蓮を見た。 蓮はさらに続けて言う。 「本気で好きな奴に対して何でも許せるはありえねーだろ。俺だって友梨が他の男と仲良くしてたら腹立つし。そいつの為を思って怒ったり気持ちぶつけるのは好きだったら普通じゃね?むしろ何でも許して怒らねえ奴の方がつまんねぇわ」 「…っ!」 友梨はハッとした表情になり、陰から蓮を覗いた。 蓮は涼しい顔をしていた。 女子達は苦虫を噛んだような表情をさせていた。 「あぁ…ちなみに、俺はお前らだったら何でも許せるぜ?だって俺、お前らの事何とも思ってねーもん。お前らが他の男と仲良くしてたってどうぞどうぞって感じだから。どうせお前らもそんなもんだろ?」 蓮が鼻で笑いながら女子達にたたみかけた。 「そ…そんな」 女子達は反論しようとした。 だが、蓮の口撃はさらに加速し容赦なく続く。 「だいたい、良い彼女になれるなんて…良い彼女って何?良いか悪いかをお前が判断してる時点で自分勝手じゃね?お前の思ってる良い彼女ってやつが俺にとって良いわけじゃねぇから」 蓮が冷めた表情をさせる。 そして、続けた。 「それに何より、俺…その場にいない人間の悪口言う奴、女として以前に…人間として嫌いだから」 蓮はギラリと鋭い眼差しで女子達を見た。 「…っっ」 女子達は蓮の未だかつてない気迫にたじろぐ。 「何楽しそうにしてるの?」 そこへ、友梨が蓮の元へ足を進めた。 「…っっ!!」 蓮や女子達は、ご本人登場に驚き慄く。 「ゆ…友梨…これは…」 蓮が焦りながら狼狽える。 「私も・・」 友梨がゆっくり口を開いた。 「私も本気で蓮の事が好きだから、こうやって蓮が女の子と仲良さそうにしてるとすぐに怒っちゃう。でも許せない事があるのは…"本気で好きだからこそ"なんだけどね…」 友梨はそう言うと、フッと不敵な笑みを浮かべ女子達を見た。 「…っっ」 友梨の威圧感に女子達はたじろぐ。 「友梨…」 蓮は、友梨の放った「本気で蓮の事が好きだから」という言葉にハートがロックオンされ、顔を赤くさせながら呆然と友梨に見惚れていた。 「・・な、何よ!他でやんなさいよッ!」 女子達はそう吐き捨てると、苛立ちながら足早に去って行った。 蓮と友梨は、静かに女子達を見送った。 「友梨…さっきの…本気で好きって…」 蓮が照れながら言いかけた。 「蓮…ありがとね」 友梨がすかさず声をかけた。 「え…」 蓮が目を丸くさせる。 「さっきの話…嬉しかった」 友梨は照れながら俯いた。 「友梨…」 蓮は友梨の照れている様子にまたもや呆然と見惚れる。 すると友梨が蓮の足元を見ると、集められた落ち葉に気がつく。 改めて蓮の手元を見ると、蓮はほうきを持っていた。 「え・・あれ、落ち葉集めてるの?何で?」 友梨がキョトンした表情で蓮を見た。 「…っっ。あー…」 蓮は言えなかった。 授業中、教室の窓から見える校庭で体育の授業を受ける友梨の姿を眺めていたために、先生から罰として落ち葉の掃除を命じられたという事実を。 「・・・ボランティア」 蓮、咄嗟に出た言葉であった。 「ボランティア??どうしたの?急に…」 友梨は目をぱちくりさせた。 「えっと…ほら、俺良い事あったからさ…ちょっと徳でも積んどこうかなーって思って…」 蓮、苦し紛れに誤魔化す。 「何それ・・」 友梨は呆然と蓮を見る。 「…っ」 蓮の顔が引き攣る。 「良いじゃん、それ!すごく良いと思う、その発想!私もやる!私だって良い事あったし!」 友梨は目を輝かせながらズンっと蓮に近づく。 「…っっ、お…おぅ…」 蓮は近づく友梨の顔にドキドキさせながら顔を赤くさせた。 その後友梨と蓮は、二人で楽しそうに落ち葉の掃除をした。 そんな光景が見える廊下をたまたま通りかかった友梨の友人である千恵と蓮の友人である慎也が、二人の姿を眺めながら話していた。 千恵「あの子達、何で落ち葉なんか集めてんの?焼き芋でもするつもり?」 慎也「あぁ…蓮の奴、今日授業中に校庭眺めてるから先生に怒られて落ち葉の掃除させられてんだよ。友梨ちゃん手伝ってあげてんだなぁ」 千恵「え、それって何時限目?」 慎也「四時限目」 千恵「うちら、校庭で体育してたわ」 慎也「え…。あ、友梨ちゃんか」 千恵と慎也は二人で笑っていた。 千恵と慎也により、最も簡単に真相が暴かれてしまった事など思いも寄らない蓮なのであった…。
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