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目の前には、黒縁メガネが印象的な可愛らしい女の子がいて。
あれ、どこかで見たような……
そう思い掛け、蒼一はぎょっとした。
なんで泣いてんだよ……まさか、ぶつかった?
「キミこそ大丈夫? 怪我はない?」
笑顔を引っ込めた蒼一が彼女を観察する。
「わ、私は平気です」
確かに、見た感じ異常はなさそう……だけど、なぜ涙を流しているのか理解できずに蒼一は首を傾げた。
「救急車呼びますね!」
「えっ?」
唐突な彼女の宣言に、呆気にとられてしまう。
さらに、スマホを取り出そうとしているのか鞄の中をゴソゴソとまさぐっている。
テンパってんのか?
「いや、本当に大丈夫だから。キミに怪我がなくて良かったよ」
蒼一は落ち着かせるように、ほたるの右手を掴んで動きを止めさせた。
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