0人が本棚に入れています
本棚に追加
まるで俺の執筆を監視する編集者かのように、暗くなろうが一歩もそこから動かないでこちらを見つづけている。
目があるわけでもないが、こちらを見つづけているように見えてしかたない。
前後の区別もつかない得体の知れないその天使は、ここに住みはじめる以前から見知っていた。
しかし、俺がここに住みはじめるようになってから、天使はずっとでそこで立ち尽くしている。
最初は恐怖でおののいた。しばらくしてなにもしてこないとわかって、今では天使も風景のひとつとして認識するようになっていた。
俺は夕食の材料となるなにかを小屋に取りに出かけた。
なにがあったか頭をめぐらせながら、30秒もかからないところに建てた小屋に入ろうとした。
小道の先に人が倒れているのに気づいた。
「ん、えっ?」
その姿は二度見しても、視界から消えることはない。
――どうしてココに人が。
不安と緊張が同時に襲ってきて、心臓の動きが速くなった。
なにかの見間違いなのかと、自分を疑いながら俺は小道を進む。
「お、おい……きみ……」
倒れていたのは、中学生くらいの女の子だった。
最初のコメントを投稿しよう!