星の終わりにくちづけを

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 どんなに荒れ果てようと、自然は自然であろうと元に戻ろうとする。唯一、元に戻ろうとしなかったのは、人間だろう。  俺は、隣の部屋で眠っている彼女の様子を見ながら、スープを作っていた。  匂いにさそわれたのか、彼女が目を覚ました。 「ここは……」 「俺の家だ。近くの道で倒れてたの見つけて、運んできたんだ。痛いところはないか?」 「……」  体を起こした彼女は、静かにうなずいた。まだ頭がぼーっとしているようだった。 「俺はヒンジス。見ればわかるけど、へんぴなところに一人で暮らしてる……」  彼女が俺から視線を外して、ゆっくりと部屋を見回すところを見て、言葉のやりとりはできそうだと思えた。 「お腹、すいてないかい?」  俺が聞くと、彼女はそっと自分のお腹に両手を重ねておさえた。 「スープ作ったから……今、よそってくるから待ってて」  俺はいつになく明るい声を出した自分に驚いた。ずっと一人でいたこともあり、つねに感情は平坦だった。  湯気をあげる鍋からスープをすくう俺の心は弾んでいた。彼女が目覚めたことの安堵もあったが、人と触れ合える懐かしさが思い出される。
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