0人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆっくりと言ったものの、それは永遠という意味ではない。しかし、目を覚ましたばかりの彼女に伝えるには酷だと思って、喉の奥で止めておいた。
「はい……」
「外はまだ少し明るいけど、時間は夜だ。このままゆっくり眠るといい」
エリーはうなずいて、また横になった。
「おやすみ……」
俺は台所で食器を洗い終えて、窓の外を眺めながらしばらく立ち尽くしていた。
エリーがどうして現れたのか、エリーがなぜ生き返ったのか。
もし、生き返ったのだとしたら、他の人たちは?
娘は?
それとも、エリーという同じ名前の他人の空似……。
なにをどう考えても、自分の頭を混乱させるだけだった。
翌日、やはりエリーは存在していた。俺は夢でも見ているのではないかと、寝ながら考えていた。
彼女は、まだ今までのことを思いだせずにいた。一緒に朝食をとり、普通の生活をすることくらいはできるようだった。どのくらいの期間、記憶を失っているのかはわからない。
そして、どこから来て、どこへ行くつもりだったのか……。
ココにはもう誰もおらず、誰かに会うにしても意味がわからない。
最初のコメントを投稿しよう!