星の終わりにくちづけを

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 気晴らしに、エリーをさそって散歩に出た。エリーの歩調に合わせて、湖につながる林の道を進んだ。  エリーは左右に広がる林を眺めながら、俺に着いてきた。  林を抜けると、エメラルドグリーンの湖面が広がり、その向こうにある乾いた茶色の山がそこに反射していた。 「きれい……」  と、エリーは砂利の上を一歩進んで、すぐに止まった。 「ヒンジス、あれはなに?」  エリーは、波打ち際に立つ紫色の物体を指さしていた。 「あれは、天使だよ」 「てんし?」 「かつて、人類がそう呼んでいたモノだ。俺があの家に住みはじめたころから、ずっとあそこに立っている」 「でも、ずっとこっちを見てるみたい」  エリーは、二、三歩歩くと、手を胸に当てて硬直した。 「どこから天使を見ても、こちらを見ているように見えるんだよ。怖がる必要はない。もう動くことはなさそうだから。近づいてもただの銅像のようさ」 「そう……」  俺とエリーは、天使から離れるようにして水際を歩いた。  ふり返れば、しっかり天使に見られている。
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