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不気味な声は、それにつなげられたイヤホンから聞こえていた。
俺はそれを耳に当てた。
ザザーッ たすけて――
今度こそ、はっきりと女性の声が聞きとれた。
――このオブジェは電波を受信するような仕組みなのだろう。
これがいままで一度も電波を受信したことはなかった。
――いったい、どこから発信されたのか?
俺はなんども思った。ココには、もう誰もいないのだ。
――いや、エリーと同じようにまだ誰かがココにいる?
俺は、エリーの部屋のドアをそっと開けてのぞきこんだ。静かに寝ている彼女を確認して、すぐにドアを閉めた。
ダイニングのテーブルに、すぐに戻ってくると置き手紙を残して、俺は家を出た。
薄明るい夜中の林道を進んだ。
湖に沿うように右へ四分の一ほど行く。そこに戦闘機が一機、放置されていた。
ここに来てから、一度も乗っていないため、枝葉に覆われてしまっていた。
操縦席に座り、スタートボタンを押す。電子パネルが光りだし、戦闘機が作動した。
――問題なさそうだ。燃料も行って帰ってくる分はある。
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