新学期前夜〜あいのさいのう〜

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 「ふぅむ。これは確かに、小学生時代のみなとであるな。どうして、こうなったか。次男であるみなとに、宇賀神家の『試練』は適用されぬ筈だが…。何らかの能力が顕現する、前触れでもあるのか。その他、一切のことは分からんな」  役に立たないことで、定評のある親父が答えた。まったく、なんの解答にもなっていない。親父は大したことも言わないまま、研究があるとかで大学に行ってしまった。  「あぁもう、どうすんだよ。明日からは、新学期だってのに…。今日もサッカー部の練習だったけど、行ける訳ないよな。風邪で休むって、翠山にLIMEしとこう」  「お兄ちゃんも、今日はバイトお休みするよ…。って、何か翠山さんからぼくにLIME来たよ。『お兄さん、宇賀神のズル休みの理由は何っスか?』だって」  「放置しとけ。ってか今更だけど、こんな状況が現実の筈ないよな?そうだ、これは夢なんだ。夢の中で夢を認識する、いわゆる明晰夢ってやつだな?」  「そのネタ、もう使えないからね。最初の方のモノローグで『不安な夢から覚めてみると〜』ってあったでしょ。これは現実です」  「マジか、宇賀神家やべえな。ところでさっきから見ないけど、百武は?うるさくなくて、いいけどさ」  「サクちゃんなら、みな君の異変を解決する方法探すためって名目で実家に帰したよ。いい機会だから、居候も解消させようかなって」  「そうなんだ。まあ、異論はないけど…。で、どうするよこれから。小学生二人で、何か出来るもんなの?」    「琴音おばさんに、来てもらうよ。ちょうど、踊りの教室で近くまで来てたみたいだから…」
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