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こんな姿になったとは言え、毎日身体を動かさないとなまってしまう。おれは部屋からサッカーボールを出して、兄貴に自宅の庭で練習を付き合ってもらった。大昔、兄貴とこうやってボールを蹴り合っていたことを思い出す。あの時と違うのは、おれが成長して痩せているのと…。兄貴が、あっという間にバテてしまった事。
「ご、ごめん。もう無理…。お兄ちゃんもう年だから、みな君のプレイに付いていけない。だって、すっごく激しいんだもん」
「言い方ぁ!よそで言うなよ、それ…。誤解されるから。まったくこの程度で音ぇ上げるとか、体力ないよな」
「お兄ちゃんのパラメータは、能力と家事に全振りなの!…でも、すごいなぁ。みな君は。お兄ちゃんがいなくても毎日、サッカーの練習頑張ってたんだね。…勉強も、県内一のホモ学に受かったもんね。ぼく、いなくても良かったのかなあ」
「また、そういう事言う」
「ごめんごめん。…でも、せっかくみな君が積み上げてきたものが無駄になっちゃうのが惜しいなって…。戻るといいね、身体」
うまい言葉がでてこない。軽く頷き返しだけすると、母屋の方からいい匂いがして来た。琴音おばさんが、ご飯を作ってくれたのだろう。
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