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ヤンキーの街
ここは人里離れたヤンキーの町。
僕は、そう言っている。
勿論、ここではそんな名前で言ってるなんてヤンキーのヤの言葉も出せないけど。
僕の住んでいるヤンキーの町は、都心部から
1時間離れた所にある。
都心部から1時間なら田舎ではないだろうし、
どうしてヤンキーの町って言うのか?って?
それは……ちょっと言いづらいんだけど……
僕の町の事をお話します。
都心部から1時間行った所に、『梁北町(やんきたまち)』という町がある。
そう、僕の町。通称ヤンキーの町。
僕も……含めてだけど、ここには変な奴らが多いと近場の町からは有名だ。
1つ目は、名前の通りヤンキーが多い!
梁北町の駅は、無人改札になっている。見るからに そこまで廃れてる感じでもないし、電車の本数も普通に5分〜10分間隔で走っているし、
降りる人もわりと、多い方だと思う……
この町には元々住んでいる人か、ヤンキーばかりしかいない。
いつも、帰りに見ていると5〜6人で「夜露死苦」と背中に赤や黄色などの刺繍がデカデカと刻まれている特攻服を着て、金髪や色々な髪色の男達が駅前に集まって話している。
昔は、みんな同じスタイルに格好だったみたいだけど、今は、格好は同じでもそれぞれ髪型が今風というか……少し今どき風にパーマがかかっていたり、ツーブロックの動きのあるヘアにしていたりする。
勿論、オールバックの人もいるけれど。
僕は、いつも、その男達がいる町中をビクビクしながら通っていく。
ヤンキー達も暗黙のルールがあるようで
『梁北町の人達には手を出さない』となっていると風の噂で聞いた。
だからなのか、今まで絡まれた事はない。
僕が変だっていうこともあるかもしれないけれど……
まぁ。僕のお話はまた今度。
以前の梁北町は、『都会には1時間位で行けて
それでいて程よく自然に囲まれている』と人気が出た時もあったけれど、今は新しく引っ越してくると言ったら転勤や地元がここの人達が1度都心に行って帰って来るぐらい。
新しい人達がどうして梁北町に来ないのかと言うと、お分かりの通り、ヤンキーの町だからだ。
至る所にヤンキーが出現して、町の雰囲気がとても悪い……
「おい、ほら金出せよ!ここの交通量だよ!」
ヤンキーは、ターゲットとなった男子高校生の胸ぐらを掴み壁に押し付けている。
町の人には手を出さないとの噂だけど、何故か同じ年位の人達に絡みにいくみたいで、僕もいつ絡まれるか自然と肩に力が入ってしまう。
「は、はい」
苦しそうな顔をして絡まれた高校生は必死に震えながら財布の中から全財産を渡す。
絡まれている男子高校生を横目に見て見ぬふりをして通り過ぎるしかない。
「ああ?やるのか こら!」
「はぁ?お前からガン飛ばしてきたんだろうが!」
駅を抜けるとロータリーがあり、その先に空き地になった更地があり、ヤンキー2人は今にもケンカを始めそうな勢いで、
どちらかの背中を押したらキスしてしまいそうな位顔を近くに押し付けて睨みあっている。
「はぁ〜」僕は、通り過ぎながら自然とため息が出る……
ほらね。これが原因。どうして みんな、そんなにいがみ合わなくてはならないのだろう。
平和に話し合ったりお互いを受け入れようと理解しようとしないのかな?
僕は、そういう人達の気持ちが理解できない。
人達っていうのは、梁北町の人達も含め、僕以外はみんな同じ感じだ。
僕の両親も……そう。
こんなガラも悪い町なのに
不思議なのは、何故か梁北町で育った町民は、梁北町をこよなく愛する。
言っておくけれど、僕は全くそんな事はない。
むしろ、仕事も落ち着いてきたら この町から出たい。
だから、仕事が落ち着いて、妹が高校を卒業したら一緒にこの町を出たいんだ。1人妹を置いていくのは、心配だから。
僕は……この町が嫌いだ!
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