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僕
僕は、周りの空気が穏やかでないとすぐにわかってしまうし影響を受けて不快な気分になる。
この気持ちは、ずっと、社会に出た今も慣れない。
僕は、スーツをきて毎日6時の電車に乗り会社に向かう。
この時間の電車に乗れば、座って行けるから。
僕はいつも自分の事を僕と話すけれど、性別は女だ。
いつからか僕は男だと思うようになった。
出来れば 男に産まれたかったし、仕事をする前は、僕が女と言う事も忘れていた……
仕事では、パンツスタイルのスーツで行けるけれど、靴は会社から指定された物を買わないといけないのだが……少しヒールのあるパンプスで凄くストレスが溜まる。
電車に乗る時は、ホームの待っている場所も女性専用車の前というのもあり、嫌でも僕は女だと自覚させられる。
乗る場所を変えようと変えた時もあったが、1番空間の空気がマシなのは女性専用車だった。
こういう時は、自分の中で矛盾に思ってしまうけれど、元の性別に頼ってしまう。
女性専用車に乗っていると
いつも気になる女性が乗ってくる。
その女性は、黒髪ロングで色白でいつも眉間にシワをよせて女性専用車にも関わらず、彼女にぶつかりでもすれば、
「おい!汚ねえんだよ!くっつくんじゃねえ!」と凄い形相で蹴り飛ばしてくる。
それは、いつでも。どんな状況でも。
電車が混雑していて仕方なくてもいちいち突っかかってくるのだ。
彼女をずっと観察していると電車が遅延している時に、会社であろう所に電話をしている時があった。彼女は、まともに話しているようにみえた。
彼女は、精神的におかしいのか?それとも神経質で元々の性格がこんななのか?不思議に思う。
何故あんなにいつもイライラしてるんだろう。
僕はああはなりたくないと思ったし、理解出来ない。
こんなにいつも穏やかな僕がなる訳ないなと安堵感さえ覚える。
毎日同じ時間の電車で同じ場所に乗っていると
同じ顔ぶれが揃う。
お互いに覚えていて、この人はどこの駅で降りるとわかるからその人の前に立って座れるように待機する人もいる。
僕は座っていつも例の彼女を観察している。
あんなにイライラして凄いな〜とびっくりしてしまう。
疲れはしないのだろうか?
僕には絶対真似出来ない。いつも同じ事を思ってしまう。
ある日の朝。
昨日は眠れなくて気だるい身体をやっとのことで起こして出勤。
僕は変わっているからなのか、梁北町での空気に慣れていて免疫があるからなのか、その彼女にぶつかってしまった。
まぁ。正確には、爆睡して隣に立っていた彼女に手がぶつかってしまったのだけれど。
でも、全然蹴飛ばされず普通でびっくりした。
僕も彼女の中で顔見知りになったのかな……
そうとも、顔見知りだ!
何かわからないけれど違和感を感じたが、気のせいだと違和感に蓋をした。
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