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次の日。
昨日の娘がはぁ…とため息をついている所で偶然居合わせたようにとある喫茶店に入った。
なお、お金は悪い人からパクりました。
「はぁ…芸能の道かぁ…。」
「おや、君は昨日の…。」
「あ、貴方は太郎さん!?」
「…声がデカいんだけど?」
「…すみません。」
「どうやら、スカウトの人に出会ったようだね。」
「えっ!?どうして分かったんですか!?」
「芸能の道という言葉が聞こえたんでね。」
ここで彼女を説得すれば、その道に誘える可能性は…依然として低い。
だけど、せっかく才能があるのだから…行って欲しいのだけども無理は良くないか。
「聞こえていましたか…。」
「君の事は君で決めろ、他の職でもいいけど…楽しい方が良いだろ。」
「楽しい…ですかね?」
「芸能の道は複雑で一筋縄では行かないけど、それらをひっくるめて楽しいと思うけどね。」
「芸能の道に行ったことがあるんですか?」
「無いよ。」
「無いんですか…。」
カランカラ~ン
昨日、彼女をスカウトした人がやって来た。
すかさず手を上げて手招きをする。
「誰だい?私を呼ぶのは?」
「あっ…貴方は昨日の…。」
「君は昨日の…。」
「偶然だね、スカウトした人がここにくるなんて。」
いや、説得してもらちがあかないからスカウトした人にも加わってもらうように誘導したのさ。
「君は?」
「自称、才能占い師。この子の才能を見極めて今回、芸能スカウトにぶつけたのさ。」
「占い師の人だったんですか!?…でも、占い道具を持っていないような…。」
「占い道具っていうのはね、占いの才能を持っている人の力を引き出すものだけども、俺くらいになると要らないのよ。」
「うむ…君も、なかなかの原石のようだね。」
「よせやい、まずは目の前の彼女のことだろ?」
俺が芸能ねぇ…。
その気があれば出ても良いけど、今は無いよ。
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