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だけどさ、おっちゃんが我が家に来た日は、僕が知床に行く2日前だったんだよね。
お陰で、2ヶ月後、僕が帰宅した頃には、すっかり奥さんとおっちゃんの絆が結ばれていて、僕はどこからか来た新入りって感じになっちゃって、その序列は最後まで変わらなかったよね。
奥さん、おっちゃん、僕の順て、なんかおかしくないか?
でも、ま〜いいっか!
おっちゃんは、自分の名前の由来を知ってる?
それはね……聞いて驚かないでよ!
それは、おっちゃんが、初めて我が家に来た時に隣りの公園で盆踊りをやっていて、氷川きよしのズンドコ節が繰り返し流れていたんだよね。だから、はじめおっちゃんの名前は「きよし」だったんだよ。
え?じゃあ、吉幾三の曲だったら、「いくぞう」だったのかって?うーん、そうだったのかも知れないな。
でも、奥さんが途中でやっぱり「きよし」ではどうなんだと言う事になって、そうしたら急に奥さんが「お前は今日からおっちゃんぶーだ」って言ってさ、その鶴の一声で決まったんだ。
ちょっと変わってて良いだろ。
僕も妙に気に入ったんだよね。
きっと奥さんは雷に打たれたようにその名前が天から降りて来たんだと思うね。
え?
「ズンドコきよし」じゃなくて良かったって?
アハハ
ところで、おっちゃんは僕たちのことをどう呼んでいたのさ?
ん?奥さんが「ママさん」。
絶対、おっちゃんを守ってくれる人だもんな。
そして、僕のことは?
「ケンちゃん!」
え?ケンちゃんて、ママさんの旦那さんだからパパさんだろー普通!
いやいや、ママさんと楽しく暮らしていたところに、ある日突然、真っ黒に日焼けした男の人が訪ねて来て、ママさんの友達なのかな?と思っていたんだけど、なかなか帰らないし、仲良くしてるから、ひょっとしてママさんの旦那さんかな?と思い始めたんだけど、おっちゃんとしては、そこんとこは、もう譲れない思いがあって……ケンちゃんに決定した次第です。
次第ですって…。
ま〜居なかった僕が悪かったんだもんな。
ん〜了解した。
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